わたしは本当は善人でありたかった


それでもきっと私は地獄に落ちるでしょう
いや、敢えて地獄を目指しているんです

例えば飢えたり、困って
助けを求めるような人がいます
自分が無力だと嘆いて
僕に頼ろうとする人がいます
わたしはその人たちを容赦なく
すべて切り捨てます

そんなのを相手にしていたら
せっかく蓄えてきた力をまた失ってしまう
そして彼らは私にすがる以外に
どうすれば良いのかわからずに
ただひたすら貪り続け
そして私が干からびたときには
私を溝に捨てます

世の中にはたくさんの不幸なことがあります
時にそれは明確に誰かの悪意、策略
陰謀によって引き起こされるものもあれば
人が自らの愚かさから犯してしまう
間違いから生じるものもある

自らの愚かさによって起こされた惨事をまるで
「罪と罰」かのように見る人がいますが
天罰でも神の意志でもなく、ただの因果であり
そういった人を救う義理は私にはありません
誰も悪くないし、そしてそうなったのも当たり前
どうにか自分で解決するしかない

その過程の中でまるで神に呪われたふりをして
助けを求める人、それに応じる人もいるでしょう
そういう人は、そのおろかで醜い輪廻に
閉じ込められておけばよいと思っています

慈悲を捨てたんですよ、わたしは
優しさも、幸せも、喜びも、悲しみも、楽しさも
私に残ったのはただ、怒りなんです

謀って人の不幸を蜜にしながら贅沢の限りを楽しみ
人の血を金に変えて、そして酒に変え
最後は無碍にする
そういう連中がいます

彼らも愚かですが、少し賢いですから
自然と道理が通されないんです
誰かが、彼らに因果を繋げなければならない
悪いことをして、ズルをして、人を騙して
そして人を切り捨てて

そういう連中への怒りしか私には残らなかった

これまでの人生
どんな楽しみも無駄に喜んでしまい
その喜びはいずれ悲しい結末を迎え
その悲しみはゆっくりと、凝縮され
怒りに収束する

圧倒的な暴力性
誰よりも、悪事を効率的に進行できる頭脳
ズルをするためにシラを切るためだけの表情
人を騙すための洗練された優しい言葉と声
容赦なく人を切り捨てて
二度と立ち上がれなくするだけの覚悟

私もきっと、謀略を通して人を牛耳る人たちの
彼ら彼女らがそうなってしまう理由のなにか
それに蝕まれてしまったのでしょう

これまで、正直、ひどい人生です
そしてこれからも、もはや良くするつもりもありません
人はもう少し、「人といること」や
「自分の嬉しさ」を重んずるんでしょうけど
だからああやって寄り添って
温もりを与え合って生きるんでしょうけど
僕は、あまり温もりというものがわかっていません

記憶のある限り、私には
作戦、報酬、罰則しかないんです
テストで良い点を取ればステーキが食えて
悪い点を取れば外に放り出される
言われたとおりにモノが書ければ点数がもらえて
間違えてしまえば点を引かれる
期待どおりにモノを作れば金がもらえて
間違えてしまえば金を取られる
必要な情報や資源を人から取り上げられれば生き延びて
失敗すれば尊厳も何もかも取られる

私の頭の中には温もりなどなく
「成功」と「失敗」があるのです
今の私にとっての成功は
同じように蝕まれた連中をすべて
一人残らず
完全に無効化し
人が絶対的な安全と進歩の中で
生きていける世の中の構築
そして今の、腐った世の中の完全な駆逐です

そのためならなんだってする覚悟です
というより、私の相手をする連中は
仁義もクソもないカスどもです
だから汚い手を使われる前に
一発で潰さないといけない
だからもはや敢えて、地獄に向かって
毎日進んでいくんですよ

永遠に火にさらされて泣き叫んでいるだけで
私の罪が赦されるような世界だとは思いませんが
願わくば、その罪を背負ったまま
天国へも、地獄へも行けずに
永遠に私の使命を果たしていたい
それによってわたしは「善」たることはできないけども
きっと「悪」をこの世から消し去ることはできるはずだ

とある友人にこれについて
「それではいずれ手段が目的を正当化してしまう」
と言っていました
その時にはもう、あなたの手で
私を止めて、終わらせてみてください
そんな力不足な私に、それ以上生きている
価値も、義務も、使命も、ありません

わたしは自分を守ろうと、自分を盲信して
向かってくるあなたさえも殺してしまうでしょう
だからよく準備するのです
余計なことは考えず
わたしの息の根を止めることだけ
それだけを考えてください